世田谷区 二子玉川 はしば糖尿病内科クリニック 糖尿病代謝内科

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糖尿病代謝内科

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糖尿病とは

糖尿病とは、インスリン作用の不足により生じる慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群のことを言い、このインスリン作用の不足は血糖値に代表される糖代謝のみならず、脂質代謝、たんぱく代謝などにも異常を来たします。
したがって、糖尿病治療の目標は、血糖値を正常化するだけではなく、これらの代謝異常を良好にコントロールすることによって、糖尿病に特有の細小血管障害(網膜症、腎症、神経障害)や動脈硬化性疾患(冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患)の発症・進展を阻止し、生活の質(QOL)の維持と健康寿命を確保することです。

糖尿病の疫学

糖尿病が強く疑われる人は1997年から2007年で690万人から890万人へ、糖尿病の可能性が否定出来ない人は680万人から1,320万人に増加しています。 また、統一した基準で行われた厚労省長期慢性疾患総合研究事業糖尿病疫学研究班の報告書に基づき、長期にわたる糖尿病有病率の推移を推計したところ、現在の増加傾向がそのまま続くと仮定した場合、10年後の糖尿病有病者は男性約520万人、女性560万人、合計1,080万人となることが予想されます。 近年の肥満者の増加に加え超高齢化社会を迎えている日本では、糖尿病の発症を予防する取り組みがとにかく重要です。

糖尿病の診断

糖尿病の診断を行うにあたり、劇症1型糖尿病発症時など特殊な状況を除いて、慢性の高血糖状態を確認することが不可欠となります。 日本糖尿病学会の診断基準に則って検査を致します。

糖尿病診断の手順

糖尿病の成因分類

2010年に日本糖尿病学会は糖尿病を成因と病態の両面から新しい分類を導入し、1型糖尿病(自己免疫性と特発性に分類され、我が国では発症・進行様式により劇症、急性、緩徐進行に分類される)、2型糖尿病、その他の特定の機序、疾患によるもの(遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの、他の疾患や条件に伴うもの)、妊娠糖尿病に分類しています。

糖尿病の治療目標

糖尿病の発症初期に厳格な血糖コントロールを行うことは初期の細小血管障害の発症を抑制し、長期的にも大血管障害の発症・進展抑制に効果があると大規模臨床試験で明らかにされており、EDICではmetabolic memory、UKPDSではlegacy effectとよばれています。

治療目標は年齢、罹患期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定するものとし、血糖コントロールの指標として、日本糖尿病学会では国内外のエビデンスを踏まえて2013年に「熊本宣言2013」を発表しました。

目標 血糖値の正常化を目指す際の目標 合併症予防のための目標 治療の強化が困難な場合の目標
HbA1c 6.0%未満 7.0%未満 8.0%未満

糖尿病の治療

初診時にしっかり病歴を聞きとり、適切な検査及び身体所見をとることで正しく病型を判断することが重要です。
糖尿病の治療は、食事療法・運動療法・薬物療法が3本柱になります。

食事療法

目的は、代謝状態をできる限り正常に近づけて合併症の発症や進展を未然に防ぐことにあります。
食事療法の基本は日本糖尿病学会の提言で述べられているように、個々の病態や生活背景、嗜好、合併症などを考慮し、カロリー・糖質・脂質・たんぱく質などを適切な配分で摂取することです。

規則的な食事習慣や主食・主菜・副食の摂取の仕方も重要です。
一人一人の生活環境を考慮した現実的な内容を、当院では独立した栄養相談室にてリラックスしながら管理栄養士より指導を受けていただけます。
糖尿病チーム医療により、治療結果を多面的にモニターしながら、種々の食事療法の妥当性を評価させていただきます。

運動療法

適度な食事制限と身体運動の継続的な実施は血糖コントロールの改善だけでなく、個体のインスリン抵抗性改善を介し、2型糖尿病の予防・治療に有用です。また、脂質代謝や高血圧も改善させ、糖尿病合併症予防も期待できます。
しかし、運動療法は禁止あるいは制限したほうがよい場合があるため、開始前に問診、身体診察、検査からなるメディカルチェックが必要です。

薬物療法

的確に病態把握を行い、必要に応じて経口血糖降下薬(SU剤、グリニド系薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬)の処方やインスリン療法、GLP-1受容体作動薬の導入を行います。また、自己管理の一環として、血糖自己測定(SMBG)の指導及び管理も必要に応じて行わせていただきます。

糖尿病三大合併症(細小血管障害)

糖尿病神経障害

糖尿病神経障害は慢性的高血糖を基盤とし、全身の末梢神経系が障害される慢性合併症であり、糖尿病三大合併症の内、最も早期に発症します。代表的病型である糖尿病多発神経障害の診断には、糖尿病神経障害を考える会が作成している糖尿病性多発神経障害の簡易審査基準を用います。
感覚運動神経障害の治療において最も重要なものは血糖コントロールであり、血圧や脂質の管理と生活指導も重要です。必要に応じて薬物治療を行うこともあります。
糖尿病自律神経障害は症状が無自覚に潜行的に進行してゆき、起立性低血圧・食後低血圧・胃不全麻痺・便秘・下痢・膀胱機能障害・勃起障害・逆行性射精・発汗異常・瞳孔異常・無自覚低血糖などを引き起こします。軽度の場合は血糖コントロールと生活習慣の改善である程度は改善することがありますが、進行した場合には生活指導や対症療法が必要になります。
接触不快や感覚過敏などの知覚異常を伴う有痛性神経障害では、痛みが長期に持続するとうつ状態に陥りやすいため、早期から適切な対症療法を行います。
脳神経障害、糖尿病性筋萎縮症、四肢絞扼性神経障害などの局所性神経障害は血糖コントロールの良否に関わらず、いかなる病期においても発症しうるため、注意が必要です。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、高血糖を主体とした代謝異常が長期間反復持続することで網膜細小血管が障害され、網膜や硝子体に多彩な病変を形成する血管原性疾患です。病態が重症になるまで自覚症状がないのが特徴であり、糖尿病の診断が確定もしくは疑われた時点で眼科に受診していただくことが重要です。
糖尿病罹病期間とHbA1cは網膜症発症の有意な危険因子であり、当院と眼科の連携により、適切な治療時期を逃さないように致します。

糖尿病腎症

糖尿病腎症は、糖尿病の発症後、約5年〜10年の経過で微量アルブミン尿の出現をもって発症します。その後、顕性蛋白尿、持続性蛋白尿、腎機能低下、末期腎不全へと進行します。一部ではネフローゼ症候群を発症する場合もあります。1998年より新規透析療法導入症例の原疾患の第1位であり、現在では全透析患者数に占める割合でも第1位の原疾患になっています。
確定診断には腎生検による病理診断が確実ですが、臨床においては検尿所見、腎機能と臨床経過を合わせて総合的に判断することになります。
治療指針としましては、生活習慣の改善、血糖コントロール、血圧コントロール、食事療法、脂質異常の管理などを糖尿病チーム医療により病期に応じて包括的に行い、腎症の発症・進展阻止のみならず、寛解・退縮が期待できます。
早期診断、早期治療が重要であり、腎臓専門医が管理することが望ましい場合は適切に御紹介させていただきます。

糖尿病足病変

糖尿病足病変とは、神経障害や末梢血流障害を伴った下肢の感染症や潰瘍、深部組織の破壊病変のことです。
成因としましては、神経障害と血管障害があげられます。
当院ではベッドサイド検査、足関節上腕血圧比(ABI)測定を行い、必要に応じて連携医療機関に御紹介致します。
また、糖尿病足潰瘍は再発率が高く、発症予防のためにも定期的なフットケアが必要です。
当院では糖尿病チーム医療によりフットケアを実施致します。

大血管障害

脳血管障害

脳出血に関しましては総じて糖尿病との関係は明確ではないのですが、脳梗塞においては発症リスクが約2倍になると言われています。
高血糖やインスリン抵抗性のみならず、糖尿病に併存しやすい高血圧や脂質異常も糖尿病で脳梗塞がおこりやすい因子であり、糖尿病と合わせて高血圧や脂質異常の管理も重要です。

冠動脈疾患

我が国で進行中の研究であるJDCS(Japan Diabetes Complications Study)の9年次中間報告によると、発症率が一般住民の約3倍と言われています。 糖尿病症例での冠動脈疾患の特徴には以下の点があげられます。

  • ・高頻度である
  • ・動脈硬化の男女差が減少する
  • ・無痛性発症の心筋梗塞が多い
  • ・びまん性、冠動脈病変が多く石灰化も強い
  • ・心筋梗塞急性期に心栓合併が多く死亡率が高い
  • ・冠動脈疾患の長期予後が不良である
  • ・スタチンへの反応性が不良でプラーク退縮が困難である
  • ・経皮的冠動脈形成術や冠動脈バイパス術が困難であることが多い

冠動脈疾患では年1回のスクリーニング検査が推奨されており、当院では心電図、ABI測定を行い、連携医療機関において胸部単純X線検査、心エコー、頸動脈エコー、必要に応じてダブルマスター心電図(高リスク例ではトレッドミル)、核医学検査、冠動脈CT検査などを受けていただきます。
緊急時や治療を要する場合は、的確に連携医療機関を御紹介致します。

末梢動脈疾患

末梢動脈性疾患(PAD)とは、四肢動脈の粥状硬化による狭窄、閉塞が原因となり生じる疾患を言います。
典型的所見は間歇性跛行や安静時疼痛であり、進行すると潰瘍や壊疽の原因になります。臨床的にはFontaine分類により重症度を分類します。
検査は、当院でベッドサイドの診察やABI測定を行い、必要に応じて連携医療機関を御紹介し、血管エコー、CT/MR angiographyなどを施行します。
糖尿病があると神経障害や感染の合併、動脈石灰化、多発・末梢病変などにより治療に難渋することが多いため、予防的フットケアが重要となります。
治療が必要な場合は適切に連携医療機関へ御紹介させていただきます。

感染症

糖尿病は様々な感染症の発症リスク因子であり、糖尿病合併症も感染症の発症や重症化、難治化の要因になります。
高血糖による好中球機能や細胞性免疫応答の低下、局所血流障害、神経障害などにより、糖尿病では易感染性となります。
1型、2型ともに糖尿病では下気道感染、尿路感染、皮膚粘膜感染のリスクが増加すると言われています。
稀ではありますが、気腫性腎盂腎炎、気腫性胆嚢炎、悪性外耳道炎、鼻脳ムコール症、Fournier壊疽などの感染症が合併することもあります。
当院で施行する肺炎球菌及びインフルエンザワクチン接種は費用対効果からも推奨される予防策です。

その他の合併症

糖尿病性勃起障害、骨粗鬆症・Dupuytren拘縮・手根管症候群などの骨格病変、認知症(糖尿病は特にアルツハイマー病の有意な危険因子と言われております)などがあり、適切な診断なもと、必要に応じて連携医療機関へ御紹介させていただきます。

引用文献
  • 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年度版:日本動脈硬化学会
  • 高血圧治療ガイドライン2014:日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会
  • 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン:日本糖尿病学会
  • 日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言:日本糖尿病学会
  • 糖尿病学 基礎と臨床:西村書店
  • 糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第6版:日本糖尿病学会

クリニック概要

はしば糖尿病内科クリニック

  • 〒 158-0094
    東京都世田谷区玉川3-10-11
    ジ・エイペックスビル2F B号室
  • 03-5797-2275
受付時間 9:30~13:00/14:30~18:00 土曜9:30~14:00 休診日:木曜・日曜・祝日
田園都市線 東急大井町線『二子玉川駅』より徒歩2分 二子玉川駅地下道直結 高島屋南館出口前(1階にエレベーターあり)
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