世田谷区 二子玉川 はしば糖尿病内科クリニック 脂質代謝内科

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脂質代謝内科

case1

脂質異常症

脂質異常症は動脈硬化症の発症や進展のリスク因子であり、特に冠動脈疾患の予防という点から良好なコントロールをすることが重要です。

脂質異常症のスクリーニング

10〜12時間以上の絶食後に空腹時採血を行い、LDL-C≧140mg/dlで高LDL-C血症、HDL-C<40mg/dlで低HDL-C血症、TG≧150mg/dlで高TG血症と診断します。

血中に増加するリポ蛋白の種類によってⅠ〜Ⅴ型に分類され、原発性高脂血症と続発性高脂血症があります。

原発性高脂血症

若年性冠動脈疾患や腱・皮膚黄色腫を特徴とする常染色体共優性の遺伝形式を示す高LDL-C血症である家族性高コレステロール血症の他に、家族性欠陥アポB-100血症、常染色体劣性遺伝遺伝性高コレステロール血症、シトステロール血症、家族性異βリポ蛋白血症、家族性複合型高脂血症、リポ蛋白リパーゼ欠損症、コレステロール転送蛋白欠損症などがあります。

続発性高脂血症

特に甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、糖尿病では頻度が高く、肥満、甲状腺機能亢進症、Cushing症候群、先端巨大症、末期腎不全、腎移植後の免疫抑制剤、肝疾患、神経性食思不振症、1a型糖原病、アルコール、エストロゲン、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬などが原因となります。

糖尿病に合併する脂質異常症

インスリン治療によって血糖値がコントロールされている1型糖尿病ではあっても軽度であり、2型糖尿病では高TG血症と低HDL-C血症が合併しやすくなります。また、LDL-C、特にsdLDLが増加します。

脂質管理目標

冠動脈疾患の既往がある場合、LDL-C<100mg/dlを管理目標とし、冠動脈疾患の既往がない場合は、糖尿病・慢性腎不全・非心原性脳梗塞・末梢動脈疾患のいずれかがあれば高リスク群としてLDL-C<120mg/dl、HDL-C≧40mg/dl、TG<150mg/dl、non HDL-C<150mg/dlを管理目標値とします。 non HDL-Cの管理目標は、高TG血症の場合にLDL-Cの管理目標達成後の二次目標であり、TG≧400mg/dl及び食後採血の場合に用います。

治療

生活習慣の改善として、禁煙指導・肥満の改善や適正体重の実現と維持・食事療法・運動療法を行い、管理目標が達成できない場合には薬物療法の開始を考慮します(冠動脈疾患の既往がある糖尿病の方では生活習慣の改善指導と同時に薬物治療の開始を考慮することがあります)。

食事療法は脂質異常症の治療の中心であり、当院では管理栄養士の指導のもと的確に管理させていただきます。
運動療法も食事療法とともに治療の基本であり、TG値の低下やHDL-C値の上昇、レムナントやsdLDLの減少が認められます。有酸素運動を主体に1日に30分以上または週に180分以上行うことを目標とします。しかし、避けたほうが良い場合や禁忌となる病態を有している場合があるため、注意が必要です。
薬物治療においては、脂質異常症の状態や合併症に配慮して、高LDL-C血症にはスタチン、レジン、プロブコール、ニコチン酸誘導体、NPC1L-1阻害薬、高TG血症にはフィブラート系薬、ニコチン酸誘導体、多価不飽和脂肪酸の中から薬剤を選択致します。

case2

高血圧

高血圧は非常に頻度の高い疾患であり、糖尿病の方の約70%に合併していると言われています。高血圧は糖尿病とともに、独立した細小血管障害及び心血管系疾患の危険因子です。
治療の目的は血圧降下のみではなく、細小血管障害の予防や脳血管障害・心疾患などの大血管障害を減少させることです。

糖尿病に合併する高血圧の治療

血圧が130/80mmHg以上であれば生活習慣の修正とともに降圧薬を開始し、血圧が130〜139/80〜89mmHgの場合において生活習慣の修正で降圧が見込めるようであれば3ヶ月を超えない期間は生活習慣の修正で降圧を図ります。
糖尿病に合併する高血圧は治療抵抗性であり、多くの場合、多剤併用によってはじめて良好なコントロールが得られます。
また、血圧の厳格な管理による細小血管障害や大血管障害の低減効果は、通常の治療に移行すると年月とともに消失することから、糖尿病における厳格な血圧コントロールは早期から開始し、生涯にわたって継続する必要があります。

case3

高尿酸血症、痛風

血清尿酸値には著明な性差があり、定義には多くの議論がありますが、性・年齢を問わず、血清尿酸値>7.0mg/dlを高尿酸血症と定義しています。
痛風は高尿酸血症が持続した結果として、関節内に析出した尿酸塩を起因とする結晶誘発性関節炎と定義されます。

治療目標

高尿酸血症が持続することでもたらされる体組織への尿酸塩沈着を解消し、痛風関節炎や腎障害などの尿酸塩沈着症状を回避することが治療目標です。
肥満・高血圧・糖代謝異常・脂質代謝異常などの合併症についても考慮し、生活習慣を改善して心血管イベントのリスクが高い高尿酸血症・痛風の生命予後改善を図ることが最終的な目標となります。

治療の適応

過食、高プリン・高脂肪・高蛋白食の嗜好、運動不足、過度の飲酒など生活習慣の乱れは高尿酸血症だけでなく、肥満・高血圧・糖代謝異常・脂質代謝異常などの合併とも深く関係しています。
その為、これらの生活習慣を是正する食生活の指導が高尿酸血症の治療では最も大切です。

高尿酸血症に対しては以下の対応を致します。

  • ① 痛風関節炎や痛風結節を認める場合
    →生活指導だけでの改善は困難なため、薬物治療により血清尿酸値≦6.0mg/dlを維持することが望まれます。
  • ② 無症候性高尿酸血症で血清尿酸値<8.0mg/dlの場合
    合併症(腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)を有さず8.0mg/dl≦血清尿酸値<9.0mg/dlの場合
    →まず生活指導を行います。
  • ③ 無症候性高尿酸血症で合併症(腎障害、尿路結石、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなど)を有し血清尿酸値≧8.0mg/dlの場合
    →薬物治療を考慮します。
case4

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)

NAFLDとは、明らかな飲酒歴(アルコール換算で日本においては20g/日を2年間以上)がないにも関わらず、アルコール性肝障害に類似の大脂肪沈着を特徴とする肝障害のことを言います。
単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む概念となっています。
糖尿病に随伴する高血糖、インスリン抵抗性、脂質異常症はNAFLDの病理を増悪させ、また脂肪化した肝臓がさらなる代謝異常を形成する可能性があります。
肝病変が進行すると肝硬変、さらには肝癌に至ることもあります。
当院では定期的に採血検査を実施し、適時連携医療機関に腹部エコー検査や腹部CT検査の依頼をさせていただきます。

NAFLDの治療としましては、下記の通りとなっています。

  • ① 食事療法
    過体重や肥満を認める場合、非現実的な理想体重ではなく、受容可能な体重設定のもと、可能であれば運動療法と併用してゆっくりと進めます。
    NAFLD/NASHは糖尿病や心血管疾患のリスクであるため、動脈硬化リスクを抑制しうる食事指導が重要です。
  • ② 運動療法
    エビデンスの集積が待たれる段階ですが、最大心拍数の60〜70%程度の運動を無理のない範囲で継続することが推奨されています。
    レジスタンス運動(無酸素運動)も肝脂肪化を改善すると言われています。
  • ③ 薬物療法
    非糖尿病症例に対しては肝脂肪化や線維化そのものに対する対策を要する可能性があり、糖尿病合併NASH症例に対しては高血糖自体への対策を要する可能性があります。今後の臨床試験の結果、エビデンスの蓄積が待たれます。
case5

肥満症

肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態であり、BMI(体重/身長(m)2)≧25を判定基準としています。
肥満に加えて、肥満を基盤とする合併症(耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、冠動脈疾患、脳梗塞、NAFLD、月経異常、妊娠合併症、睡眠時無呼吸症候群、変形性関節症、肥満関連腎臓病など)を有し、減量を必要とする状態を肥満症と定義しています。
また、現在合併症を有していないが、内蔵脂肪面積≧100cm2を認める内臓脂肪型肥満の場合も肥満症と診断します。

治療

治療の目的は、合併症の発症・進展の予防です。肥満症は脂肪組織の量的異常ではなく、質的異常により形成されていると考えられており、合併症に対し現体重の3〜5%の減量で明らかな効果が認められることがあります。
治療の中心は生活習慣の改善(食事療法や運動療法、行動療法)であり、薬物療法は補助的に用います。
手術適応のある重症肥満症例に対して、外科治療を考慮することもあります。

引用文献
  • 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年度版:日本動脈硬化学会
  • 高血圧治療ガイドライン2014:日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会
  • 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン:日本糖尿病学会
  • 日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言:日本糖尿病学会
  • 糖尿病学 基礎と臨床:西村書店
  • 糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第6版:日本糖尿病学会

クリニック概要

はしば糖尿病内科クリニック

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